LPガススタンドを知っていますか?もしくは見たことはありますか?
「LPガススタンド」と表示されていない場合は、「オートガス」と表示されている場合もあります。
LPガススタンドを必要とするLPG自動車はガソリン車より数が少ないため、LPガススタンド自体数が少なく、LPG車の数が多い都心部を中心に集中して設置されています。
実は、タクシーや宅配便の車などはLPG自動車であるため、このLPガススタンドは意外と身の回りで利用されているのです。
今回はそんなLPガススタンドとLPG車について紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1.LPガススタンド日本全国に設置され、世界中にも広まっている 2.LPG車とガソリン車は共通する部品が多いので転換することも可能 3.LPG車はタクシーなどの専用車に多く採用されている |
LPガススタンドは、LPガスを燃料として走る自動車のためにLPガスを供給するスタンドです。
ガソリン車にとってのガソリンスタンドみたいなものです。
プロパンガス(LPガス)と聞くと、一般家庭に設置されているガスボンベや、ガスコンロなどが思い浮かぶと思います。
実はタクシーや配送業などの専用車に燃料として採用されています。
このプロパンガス(LPガス)を燃料とする車を「LPガス自動車」や「LPG自動車」、「LPG車」と言います。
LPG自動車は、ディーゼル車のような黒煙を出さない環境に優しく低コストな車種なのです。
また、LPガスの一種としてオートガスというものもあります。
これはプロパンガスとブタンガスを混ぜたもので、LPG車専用なので家庭用に使用されているプロパンガスとは違った配分です。
LPガススタンドは普通のガソリンスタンドと同じような造りをしています。
ガソリンスタンドと同様に燃料タンクを地下に埋め込み、そこから自動車へ燃料を供給する構造になっています。
普通のガソリンスタンドとの違いは、より安全で壊れにくい構造になっている点です。
多くのLPガススタンドは耐震構造を備え、自家発電装置が設置されていて、地震などの災害により電気が止まっても使用できるようになっています。
昭和初期からLPG車の開発がされ、昭和37年にタクシーに採用されました。
それに伴いLPガススタンドが昭和37年の大阪市東成区に設置されました。
その後LPG車が普及されるにつれて、LPガススタンドも増えていきました。
そして平成11年には、全国で1900ヶ所の LPガススタンドが設置されました。
しかし近年、設置数は減少の一途を辿っています。
平成19年度に1713ヶ所あったLPガススタンドは、平成28年度には1458ヶ所までに減ってしまいました。これは10年間で14%も減ってしまったということになります。
そのため、現在は他エネルギー供給スタンドとの「マルチ化」や無人・セルフ化が検討されているようです。
上述したようにセルフ化に向けて動き出しただけで、プロパンガススタンドはセルフではありません。
利用方法はセルフ化がされていない普通のガソリンスタンドと同様です。
ディスペンサーの側に車を寄せて止め、サイドブレーキをしてエンジンを止め、係員の人にプロパンガスを供給してもらいます。
供給には数分かかりますが、暇だからと言って喫煙することはおやめください。
危険物を取り扱う場所なので火気は厳禁です。
供給が終了したら、支払いを済ませてガススタンドを出ましょう。
それでは、LPG車についてみていきましょう。
まずはLPG車の特徴から確認していきます。
LPガス自動車・LPG車とは、プロパンガス(LPガス)が燃料の自動車です。
LPG車は国内でも多く製造されており、メーカー国産車はトヨタが製造しているようです。
LPガスはガソリンや軽油と比べて安価なので、タクシーやバスにLPG車を採用している企業が多数あります。
LPG車とガソリン車の仕組みの違いは燃料周りやエンジン以外には特にありません。
ガソリンタンクの代わりにLPガス専用の燃料タンクを積み、LPガス用に調整されたエンジンで動いています。
日本で使われているLPG車のほとんどはメーカー製造・販売です。
しかし既存のガソリン車やディーゼル車をLPG車に改造する事も出来ます。
「LPG内燃機関工業会」という業界団体があり、この団体はLPG車への改造行う事業者や企業によって構成されています。
このLPG内工会に指定された工場で改造されることが多いようです。
LPG車のエンジンは、ガソリンエンジンとほぼ構造が同一で、火花点火内燃機関という点は同じですが、異なる点もあります。
それは燃料関係の部品や造りが違うという点です。
そのため、共通する部品が多いため燃料関係の部品の交換や燃料供給の方式を変更、点火時期の調整でガソリン車やディーゼル車をLPG車に改造出来ます。
また、燃料タンクは共通部品ではないため、LPG車に改造した場合はLPG用の燃料タンクを積まなければなりません。
燃料タンクを搭載するために、車両に応じてタンクをトランクルームやスペアタイヤのスペースに積んだり複数の小型タンクを各部に配置したりなど工夫しています。
LPG車で使用されている燃料は「プロパンガス(LPガス)」です。
しかしプロパンガスと言っても、ご家庭で使用されているプロパンガスとはまったく同じものではありません。
燃料を抜き取って使用としても上手くかみ合わないため事故の元になってしまいます。
この違いを出しているのは主成分の違いにあります。
一般家庭で使用されているLPガスの主成分は「プロパン」が9.5割以上になっています。
LPG車の燃料として使用されるLPガスは地域によって成分が変わり、南の温かい地域では圧力の低い「ブタン」を、北の寒い地域では低温でも気化しやすい「プロパン」を主成分としたLPガスを使用しています。
この違いの理由は、ブタンは0℃より低い環境下だと気化がしにくいためです。
一般的な比率はブタン8:プロパン2で混合されていて、このLPガスは「オートガス」とも呼ばれます。
LPガススタンドの看板に表記されるガスの名前には、
・LPG
・LPガス
・オートガス
・プロパンガス
とありますが、どれもLPG車で使用可能なガスなので、安心して供給できます。
メリット
1. 燃料の単価がガソリンや軽油と比べて安いこと
2. 燃料補給一回あたりの走行距離はディーゼル車と比べて遜色ない
3. 排気ガスがキレイでエンジン音の小さく環境に優しい低公害車
デメリット
1. LPガスのタンク検査が6年に1回あり、メンテナンス料が高い。
2. 燃費の良いガソリン車と比べた場合は総合的に負けることもある。
3. ガス欠で動けなくなってしまった場合、他からの燃料の供給が受けられないためレッカーしか選択肢がない
環境などを考えるとLPG車がよさそうですが、遠出などの長距離移動には心もとない事や、地方に行く場合はLPガススタンドが見つからないなどの旅行好きや長距離ドライバーにとってのデメリットがあります。
都心部を中心に走る場合は燃料の補給が容易なので選択肢に入れても良いでしょう。
LPG車には、どのような車があるのでしょうか。
1.タクシー
2.国産自動車
3.東京都23区内清掃車
4.宅配便配送車(クロネコヤマト運輸)
5.ボトルカー(ベンディングカー)
6.路線バス(豊田市の場合)
7.国土交通省作業車
8.生協トラック(コープかながわの場合)
以上のような車種が存在するようです。
こうしてみると、意外とLPG自動車が使われていることが分かります。
現在走っているタクシーのほとんどがLPG自動車なのは、燃料が安価だからLPガスを使っているようですが、近年LPガススタンドが減少してきていて、設置数が少ない地方だとタクシーの燃料の補給が出来ないことが問題になっているようです。
LPガススタンドが設置されているのは日本だけではありません。
むしろ外国である欧州の方が普及しています。
2015年時点の日本のLPG車の保有台数は21.6万台でした。
それと比べポーランドは291.4万台、イタリアは213.7万台を保有していたようです。
また、ドイツ、ギリシャ、フランスも40万台以上の保有と日本よりも普及しています。
LPガススタンドも保有台数に合わせてその分増やさなければ供給することが出来ません。
しかし、LPG車が普及しているのは先進国に限られているのが現状です。
そして、LPG車の数に対してLPガススタンドの設置数が少ないというのも問題点としてあげられます。
今回はLPガススタンドとLPG車について紹介させていただきました。
LPG車は都市部を中心に活躍しているようですが、LPガススタンドの設置数がまだ少ないことが、活躍の場を広げることを妨げています。
これから専用車以外に一般車にもLPG自動車が増えるようでしたら、LPガススタンドも増えてくるでしょう。
しかしLPガススタンドの設置数がネックになってしまっています。
ガソリンスタンドなら全国に設置されているためガソリン車をどこでも乗り回すことが出来ます。
反面、LPガススタンドは現在減少傾向にあるようなので、LPG車が普及している欧州でも進められているスタンドのセルフ化や、複数種類の燃料を供給することが出来るマルチ化が進めば利便性が高くなり利用幅も増えると思われます。