ガスを安全に使用するために、ガス機器には様々な安全装置が組み込まれています。
ガスファンヒーターやガスコンロにはガス漏れを検知したら自動的に消化してくれる装置や、地震などの揺れを感知した場合にも自動消火してくれる装置などが搭載されています。
ガスを供給する設備は地震の揺れを感知した場合やガス漏れなどのガスの異常を検知した場合に自動的にガスを遮断してくれるマイコンメーターや、マイコンメーターで常時監視して異常があった時に遠隔操作で遮断や保安機関の出動をしてくれるLPガス集中監視システムにより安全性を高めています。
最近の技術の進歩によりガス機器の安全性が高くなってきていますが、これは取扱事項を守ったうえでの安全なので、最終的に身を守るためには使用者自身の注意が必要になります。
けれどもガス機器の安全性が高くなっていることは紛れもない事実です。
では、ガスの使用における安全性はガス機器の技術の進歩に頼りきりなのでしょうか?
販売者側からは何か安全のための取り組みはしていないのでしょうか?
今回は認定液化石油ガス販売事業者制度について紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1. この制度は集中監視システムをお客様に導入してもらえている率により認定される 2. 上位の認定を受けたガス会社は保安点検などなどの基準が緩和される 3. 消費者側からは集中監視システム導入に関するメリット程度 |
認定液化石油ガス販売事業者制度は、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」に基づいていて定められています。
この認定事業者制度は、LPガスを販売する事業者向けの認定制度になります。
この認定を受けることが出来るのはLPガスの保安事業を高度に取り組んでいることを認められたLPガス販売事業者が対象です。
この認定事業者にLPガス販売事業者が認定されると、インセンティブが発生しますが、この認定事業者には2種類あり、インセンティブにも差が発生します。
その認定事業者の種類は以下の通りになります。
①ゴールド保安認定事業者
販売事業者が契約している消費者のうち、「認定対象者」の割合が、70%以上であること。
②保安認定事業者
販売事業者が契約している消費者のうち、「認定対象者」の割合が、50%以上であること。
上記の条件の中で「認定対象者」という言葉が出てきましたので下記で確認しておきましょう。
認定事業者制度の認定を受けるためには「認定対象者」の割合が必要になると説明しましたが、この対象者になるのはどのような人たちなのでしょうか。
以下の条件を満たした消費者のことを「認定対象消費者」として認定されています。
・ガス流量の検知で、自動的にガス供給を停止するガスメーターや調整器を設置している消費者
・保安確保機器の期限管理をしている消費者
・無線通信を利用した集中監視システムを設置し、緊急時にガスメーターの遮断弁を遠隔で遮断できる消費者
これ等条件を満たしているということはガスの使用に、安全性が高いという判断がされるようです。
お客様側からするとこのような認定による分類は特に意味がありませんので、気にしなくても大丈夫です。
認定を受ける条件を満たしたということは、受けていない人よりも安心してガスを使用することが出来る安心感を持つことが出来る程度です。
事業者 | 緊急時出動規制 | 供給設備の点検 消費設備の調査 | 業務主任者の選任数 |
ゴールド認定販売事業者 第一号認定 (特例措置あり) | 事業所から60㎞以内、60㎞を超える場合は60㎞以内に事業所を設置または、他の保安機関に委託しなければならない | 10年間に1回以上の頻度の緩和対象を除いた「4年に1回以上」となっている点検・調査項目を「5年に1回以上」に緩和 | 保安確保機器が設置されている場合については、一般登録事業者の場合の1/3 |
ゴールド認定販売事業者 第一号認定 (特例措置なし) | 事業所から40㎞以内、40㎞を超える場合は40㎞以内に事業所を設置または、他の保安機関に委託しなければならない | 4年に1回以上とされている点検・調査の一部について、10年間に1回以上に緩和 | 保安確保機器が設置されている場合については、一般登録事業者の場合の1/3 |
認定販売事業者 第二号認定 | 事業所から40㎞以内、40㎞を超える場合は40㎞以内に事業所を設置または、他の保安機関に委託しなければならない | 4年間に1回以上 | 1,000件未満1人以上 1,000~3,000件未満2人以上 3,000~5,000件未満3人以上 5,000件~4人以上 その後2,000件増毎に1人 |
一般登録事業者 | 事業所から30分以内、30分を超える場合は30分以内に事業所を設置または、他の保安機関に委託しなければならない | 同上 | 同上 |
**表1のなかで、ゴールド保安認定事業者の特例あり・なしの特例とは、次のa~cのどれかが当てはまる場合を特例措置としています。
a.CO警報器(一酸化炭素警報器)が設置され、CO検知によりガスを遮断する
b.一般消費者の湯沸かし器・ふろがま・ストーブなどの燃焼器に不完全燃焼防止装置がある
c.燃焼器すべてが屋外に設置されている
上記の表は事業者が受け取ることが出来るメリットについての一覧になります。
では、消費者側へもメリットはあるのでしょうか。
以下に事業者と消費者へのメリットをまとめてみました。
LPガス集中監視システムを導入することによってもたらされるメリットがほとんどです。
集中監視システムについては他の記事で説明しておりますのでご興味がある方はこちらをご覧ください。
今回は認定液化石油ガス販売事業者制度について紹介させていただきました。
我々消費者側からすると特に関係がないような制度ではありますが、認定を受けている事業者は集中監視システムの導入を積極的であり、それだけ消費者の安全を守るために熱心であるとも考えられます。
そのため、この制度はガス会社を決定づけるものではありませんが、一つの選定基準にしてもいいのではないでしょうか。