LPガスを普段使用していてもどこから来ているか、どのように供給されているかなど、調べようとしなければ分からないですよね?
ボンベが設置されていて、そこからガスを使用していることが分かっても、そのボンベがどのようにして供給されているのかまで知っている方は少ないかと思います。
そこで今回はLPガスが配送される仕組みについてご紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1. プロパンガスはLPガスの一種 2. ご家庭までに「輸入→貯蔵→ガス充填所で充填→ご家庭」のステップがある 3. LPガスの供給システムは消費先の規模に合わせた様々な種類がある。 |
まずは、LPガスとプロパンガスとは何なのか、簡単に覚えておきましょう。
“LP”ガスとは“Liquefied Petroleum Gas”の略語で、液化石油ガスという意味になります。また、それぞれの頭文字からLPGとも呼ばれてもいます。
そしてLPガスの一種としてプロパンガスがあります。
家庭用のLPガスと聞いたら、プロパンガスのことを言っているのだな、と思ってもらって間違いありません。プロパンガスは主な成分として「プロパン」と「ブタン」が含まれていて、このプロパンの割合が大きいためプロパンガスと呼ばれているのです。
また、これら「プロパン」と「ブタン」は圧縮すると常温でも液化して運搬しやすくなるため、広く普及しています。
詳しく知りたい方は【「LPガス」と「プロパンガス」の名前】でも解説していますのでそちらも読んでみてください。
LPガスはボンベに詰められて運ばれてきますが、これがどこから来ているのかを知っていますでしょうか。
実はLPガスの原料の約75%は輸入しています。
輸入されてきたガスは貯蔵され、充填所に運ばれて、容器に充填後に各ご家庭や事業所に運ばれていきます。
では、輸入されてから供給されるまでの流れを確認してみましょう。
①輸入タンカー等で産出国から輸送する。 ②一次基地に貯蔵する(国内には五か所のLPガス備蓄基地がある)。 ③二次・三次基地に輸送される。中継配送センターの役割がある。 ④充填基地に輸送されてボンベに充填される。 ⑤ガスボンベを配送する。 ⑥各ご家庭に設置して供給開始。 |
参考 日本LPガス協会
上記のような流れで配送されてきますが、ご家庭までに大きく三つの業者を介して届けられています。
LPガスを輸入している「元売り業者」は①を。
元売り業者から小売業者へとLPガスの購入販売している「卸売業者」は②から④を。
卸売業者から購入して各ご家庭に販売と供給している「小売業者」は⑤と⑥を。
これら業者の原材料費や運送費、人件費、利益等が合わさり最終的に各ご家庭に請求されるときに上乗せされていきます。
ここから各ご家庭に配送された後にどのように供給されていくのか、供給システムについてお話していきたいと思います。
まず供給システムといってもただご家庭にボンベを設置しておしまい、だけではありません。
この供給システムにはおおよそ二種類に分けられます。
一般家庭などの比較的少ない消費量の契約者様の場合には「個別供給システム」と、「導管供給システム」が提供されています。
個別供給システムは、家持ちの契約者である各ご家庭に配送するという、一般家庭向けのLPガス供給システムです。
各ご家庭の裏手にボンベが設置されている場合はこのシステムになります。
このシステムで設置されているのは、10kg・20kg・50kg入りが一般的なガスボンベの種類です。
気になるボンベの取り替え時期ですが、ガスの使用量等をLPガス販売店のコンピューターや検針されるときにチェックされています。
最近ですとコンピューター制御により自動的にチェックしている販売店もあります。
そのため無茶なガスの消費や、ガス漏れ等が無ければ、消費者はガス切れを心配することなくLPガスを使用できます。
また、検針時にチェックされるLPガス使用量は、設置設備の一つである「ガスメーター(マイコンメーター)」が消費量をカウントしているため、前回との差を計算して今回分の消費量を計算してガス代を出すようになっています。
マイコンメーターを使用した監視システムが導入されている場合は、この数値を遠隔でチェックすることも出来るようです。
導管供給システムは、この名前の通りに導管を通してガスを供給するシステムです。
ガス管を通してガスを供給するのは都市ガスと似ていますね。
こちらは各ご家庭にボンベを設置するのではなく、供給元であるボンベを一か所に集中して設置し、貯蔵してそこからそれぞれに供給する「集中プロパン」とも呼ばれるシステムでもあります。
こちらは住宅街などの家が集中しているような場所や、アパートやマンションなどの集合住宅、工場などに供給される場合に利用されています。
導管供給システムは法律規制の区別から「小規模導管供給」と「簡易ガス供給」、「バルク供給」という供給方法に分けられます。
比較的小規模な消費先に供給される場合はこの小規模導管供給を用いられます。
建物内の部屋数が70戸未満の集合住宅が主な対象になります。
小規模な団地で戸数が少ない場合でも採用されることがあるようです。
この「小規模導管供給」を採用する場合に適用される法律は、液化石油ガス法 (液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律)です。
液化石油ガス法 「液化石油ガス法」は、正式名称を「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」といい、液化石油ガスによる災害の防止や液化石油ガスの取引を適正にすることを目的として、液化石油ガスの販売などを規制しています。 液化石油ガス(LPガス)は、主として産業用に使用される場合には「高圧ガス保安法 」、主として一般家庭で使用される場合においては「液化石油ガス法」の規制を受けます。 |
部屋数が70戸以上の規模の大きい団地やマンションなどの場合には簡易ガス供給が用いられています。
建物の近くにガス発生設備を設置してガスを供給するシステムです。
このガス発生設備は、ガスを生産しているのではなく、ガスボンベの中の液化ガスを気化させるものです。
簡易ガス供給は、小規模導管供給とは違い、似ている都市ガスが既に供給しているエリアでは供給することができないことになっています。
適用される法律は、ガス事業法が適用されます。
そのため、ガス料金は認可料金制となっています。
関連条文 ガス事業法第2条第3項 この法律において「簡易ガス事業」とは、一般の需要に応じ、政令で定める簡易なガス発生設備(以下「特定ガス発生設備」という。)においてガスを発生させ、導管によりこれを供給する事業であって、一の団地内におけるガスの供給地点の数が70以上のものをいう。 ガス事業法施行令第1条 ガス事業法第2条第3項の政令で定める簡易なガス発生設備は、高圧ガス保安法又は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律に規定する規格又は技術上の基準に適合する容器(液化天然ガス用保冷容器を除く。)並びに当該容器内において発生するガスの集合装置及び当該容器に附属する気化装置(当該容器内又は当該容器に附属する気化装置内において発生するガスの成分に変更を加える装置を有するものを除く。)とする。 |
バルク供給は、従来、工場等の大規模な事業者向けの供給方法として採用されてきました。ですが、1997年(平成9年)の改正により、供給先の間口が広がり一般家庭を含む小口の消費者でも採用されるようになりました。
このシステムは、消費先に設置されたバルク容器に、バルクローリー(ポンプが付いたローリー車)から直接充填するものです。
貯槽には主に「地下式」と「地上式」の2種類があります。
また様々なバリエーションがあるので、設置場所の状況に対応した最適なものが選択できます。
LPガスの使用量は、ご家庭に設置されたガスメーター調べて計算する場合と、バルクローリーの充てん質量計により計算する場合の二種類があります。
今回はLPガスの供給方法について紹介させてもらいました。
ガスボンベを家の裏に設置するだけではないことを知っていたでしょうか。
普段使用されているガスですが、様々な方法で私たちの手元まで来ているわけです。
「家の裏手にボンベが設置されていないからうちは都市ガスだな」
このように簡単に判断するだけではご自分でガス用品を選んだ時に失敗するかもしれません。
もしご購入される場合は請求書を確認するか、契約しているガス会社に連絡してみるといいでしょう。
「ガスの安売り王」では優良ガス会社を紹介させて頂きます。
ぜひお気軽にご相談ください。