外出した時に「ガスを消し忘れたかも」と心配したことはありませんか?
そんな不安の元であるガスの消し忘れを防止してくれるシステムがあります。
今回はそんなガスの消し忘れを防止する機能がついたマイコンメーターやLPガス集中監視システムについて紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1.マイコンメーターや集中監視システムによりガスの遮断をすることが出来る 2. 2019年のガス事故の28件は歴史的に見ればよく抑えている方 3.ガス販売事業者によって保安業務を外部委託している所もある |
普段使用されているガス機器ですが、供給設備には様々な安全装置が搭載されています。
設備の中でも消し忘れやガス漏れなどの、ガスに関わる異常を検知してくれる役割を持っているのがガスメーターです。
そんなガスメーターですが、実は2種類に分けることが出来ます。
一つ目はガスの使用量を計測してくれる単純なガスメーター。
二つ目は、一つ目のガスメーターにガスを遮断する装置が取り付けられたマイコンメーターです。
マイコンメーターは消し忘れやガス漏れなどの、ガスの異常を検知した場合にガスの供給を遮断することでガスの流出を防止してくれます。
また、震度5以上の地震が発生した場合も自動で遮断してくれるため、安全性を高めてくれています。
では、マイコンメーターと集中監視システムの関係はどの様なものなのでしょうか。
「LPガス集中監視システム」とは経済産業省によれば、
お客さまのLPガスの利用状況を24時間365日休みなく見守り、 異常を感知したら、適切な措置を行うシステムです。 |
このようにガスを監視する必要があるシステムですが、この監視・報告にマイコンメーターが関わっています。
マイコンメーターと集中監視センターは無線や電話回線などで結ばれていて、異常が発生した場合にお客様に連絡したうえで、必要に応じてガスの遠隔遮断や保安機関の出動などの対応をすることが出来ます。
この集中監視システムはどの様にして採用されるに至ったのでしょうか。
ガスが家庭で使用され始めたのは「ガスとくらしの年表 – 東京ガス」によれば1900年代からのようですが、ガスの原料として石油が使われ始めたのは1952年からのようです。LPガスの登場です。
それから保安面の業界指導や供給方式の制定などがありLPガスが普及していったようです。
しかしガスの普及に伴いガスによる事故が起きるようになりました。
保安体制の制定などもあったようですが使用者や業者による事故は絶えませんでした。
1978年は570件、1979年793件(過去最多)、1980年が761件を記録しました。
そして1980年代にはいくつものLPガス爆発事故が起きてしまいました。
これを受けてLPガス事故防止のための活動が起き、1980年代後半からマイコンメーターが開発され、1997年には設置義務化されました。
事故の教訓から安全装置も開発され、基準の強化の実施・周知が繰り返されて順調に事故件数を減らしていきました。
この時に集中監視システムの下地が出来て供給されていったようです。
しかし1990年代後半からに再び事故件数の増加の兆しが見え始めました。
増減を繰り返していましたが、1997年に80件、2003年に114件、2009年には164件と件数が増加しています。
最近の物ですと2016年9月の北海道で風呂釜の点火トラブルによる爆発事故が発生してしまいました。
(参照元:ガス事故の発生状況 – 経済産業省)
では、なぜまた事故が増えるようになってしまったのでしょうか。
これは1996年のLPガスに関する法律の大改正に始まっています。
LPガスに関する法改正はこれまでにも行われていました。普及された当初からガス事故は問題視されていたので保安基準を設け、実施してきていました。
しかし1996年の法改正は「LPガス販売事業を許可制から登録制へ移行」と「保安と販売の分離」という、いわゆる“規制緩和”でした。
この法改正の目的はガス料金の高騰や市場原理が働いていなかったガス市場へメスを入れることで健全化を図ることでした。消費者を守るように目に見える形に是正しようとしたのです。
しかし、今まで停滞していた市場に、新規参入してくる企業と既存企業の消費者争奪戦が展開されることになり、詐欺紛いの悪徳業者が現れまでになってしまいました。
これらの悪徳業者によりトラブルが発生している状況があります。
トラブルの内容には請求金額の高騰や応対関係だけではなく、緊急時の対応や点検などの保全作業が不十分であるなど安全面にまで及びます。
これらにより事故件数の減少が妨げられているのではないかと考えられます。
事故の減少のためにも通信インフラが整ってきた今だからこそ、集中監視システムなどの安全策の導入が望まれます。
それでは、集中監視システムが作動する流れというのはどの様になっているのでしょうか。
LPガス販売事業者が保安業務をしているのか、それとも外部に委託しているのかによって流れが少し異なります。
STEP1 | マイコンメーターが異常を感知すると、監視センターの受信機に緊急通報します。 |
STEP2 | 緊急通報を受信したら、直ちに監視センター員が消費者へ電話します。 |
STEP3 | 消費者が在宅の場合は、そのまま電話にて状況確認し、処置方法の説明をします。 |
STEP4 | 消費者が不在の場合や3.の状況確認の結果、必要と判断した場合は専門スタッフを現場に急行させ処置します。 |
(参照:LPガス集中監視システム – 経済産業省)
STEP1 | マイコンメーターが異常を感知すると、監視センターの受信機に緊急通報します。 |
STEP2 | 緊急通報を受信したら、直ちに監視センター員が消費者へ電話します。 |
STEP3 | 消費者が在宅の場合は、そのまま電話にて状況確認し、処置方法の説明をします。 |
STEP4 | STEP3での対応結果をLPガス販売事業者へ連絡します。 |
STEP5 | 消費者が不在の場合や3.の状況確認の結果、必要と判断した場合はLPガス販売事業者へ、現場に向かうなどの対応を依頼します。 |
(参照:LPガス集中監視システム – 経済産業省)
集中監視システムの流れは上記の表の通りなのですが、導入することによってもたらされるメリットとは何なのでしょうか。
・ガスの利用状況を常に監視しているため、異常を検知し事故を未然に防ぐことが出来る。
・消し忘れやガス漏れ時に、遠隔操作よる遮断操作で安全を確保することが出来る。
・検針を自動化することで、人為的ミスや故意の改ざんを防ぐことが出来る。
・ガスの残量をシステムで把握することで、計画的な配送を可能とし、コストの削減が出来る。
・ひとり暮らしのお年寄りの見守りサービス、防犯サービスなどのガス供給以外のサービスを提供出来るようになる。
・認定LPガス販売事業者であることは、消費者が業者を選ぶときの目安になる。
このように、集中監視システムにはメリットがいくつもあります。
消費者と事業者の両方にとってお得であると言えるでしょう。
認定LPガス販売事業者についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。
今回はLPガス集中監視システムとガスの事故にまつわる歴史について紹介させていただきました。
ガスの歴史でも紹介させていただきましたが、ガスの普及はガス事故とともに歩んできた面があります。
しかし、失敗を教訓とて安全面の向上を図ってきたおかげで今の安全装置が搭載されたガス機器が存在します。
そのおかげか2019年のガス事故は28件と抑えられているようです。
地震や大雨などの自然災害が多い日本では、災害に強いと言われるLPガスは復興時の強い味方です。
そんなLPガスを使用する時に事故が起こってしまうことは避けたいところです。
そのためにも安全性の向上や、使用者の利用時における心構えは今後の課題と言えるでしょう。
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