省エネルギーについてのCMや番組で「HEMS(ヘムス)」という言葉を耳にしたことはありますか?
このHEMSというのは家庭で使用されるエネルギーを「見える化」とまとめて管理することが出来るシステムです。
管理できる「エネルギー」には電気やガス、水道のことであり、これらをまとめて確認したり遠隔で制御することが出来るようになります。
今回は、家庭で使用するエネルギーをまとめるHEMSについてではなく、
「LPガス(プロパンガス)」に特化した「LPガス版HEMS」と呼べるものについて、仕組みやメリットなどを紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1. HEMSによりエネルギーに関する利便性が今後上がっていきます 2.出先でもスマートフォンで使用量や料金の確認や遠隔操作をすることが出来ます 3.エネルギーの「見える化」で省エネルギー化や節約につなげやすくなります |
まずは「HEMS」についての基礎知識から確認していきます。
“HEMS”とは「ヘムス」と読み
「Home Energy Management System(家庭のエネルギー管理システム)」
の略で、家庭で使うエネルギーを管理する仕組みのことを指します。
通常のHEMSは家電製品や給湯機器をネットワーク化し、表示機能と制御機能を持つシステムのことで、家庭の省エネルギーを促進するツールとして期待されています。
制御機能には、遠隔地からの機器のオンオフ制御や、温度や時間などの自動制御があります。
表示機能は、機器ごとのエネルギー消費量などをパソコン、テレビ、携帯電話の画面などに表示するほか、使用状況に応じた省エネアドバイスを行うなどの機能を併せ持つものもあります。
LPガス版HEMSとは、上記の通常のHEMSと同様に「見える化」により家庭で使用されるガスの消費を削減するお手伝いするシステムです。
「見える化」の具体的な内容としては、家庭でのガスの使用量、使用料金などの情報を消費者にとって分かりやすくまとめて表示出来たりと、通常のHEMSと変わりありません。
政府は2030年までに全ての住宅にこのHEMSを設置することを目標とし、新築やリフォーム時に補助金を出してHEMSの普及促進に努めています。
もしかしたら、どのご家庭にも使用される普通の設備となる日が来るかもしれません。
一般的なHEMSは家庭内にある様々な機器を通信ネットワークによってつなげることによって、外出先でもスマートフォンやパソコンで遠隔制御出来たり、消費エネルギーの確認が出来たりします。
LPガス版HEMSと通常のHEMSとの一番大きな違いは、計測されたデータを消費者本人だけではなく、ガス会社側である集中監視センターへ送信されて共有されることにあります。
ガスメーターに計測装置を取り付け、ネットワーク回線などを通じて集中監視センターへデータを送信する手順は、集中監視システムと似ています。
集中監視システムは専用のマイコンメーターを導入する必要があるため手間やコストがかかりますが、LPガス版HEMSは既存の設備に計測装置をとりつけるだけでいいため導入コストを下げることが出来ます。
通常のHEMSはご家庭内のみで情報のやり取りが完結していますが、LPガス版HEMSは外部と情報の共有化をすることによって様々なサービスを享受することが出来ます。
では集中監視センターとHEMSを設置している利用者がインターネットで結ばれると、どのようなサービスが受けられるようになるのでしょうか。
以下がその一例になります。
集中監視センターでは利用者のLPガスに異常がないか常に見張っているので、なにかトラブルがあった時にいち早く駆けつけることが出来ます。
お年寄りが一人暮らししている場合、ご家族の方は心配かと思います。
そんなご家族の方にガスの利用状況をお知らせをしてくれることで安否確認をすることが出来ます。
集中監視センターで何かトラブルを検知すると利用者にメール等で連絡をしてくれます。
お出かけ時にお知らせが来たとしても、遠隔でガスを遮断することが出来ます。
センサーが留守の住宅に誰かが浸入したことを検知すると利用者に連絡が来ます。
警備会社と連携をして自動的に連絡を入れてくれるサービスを提供している所もあります。
料金明細書の通知をインターネットで確認をすることができ、Web上で料金の決済をすることができます。
ではLPガス版HEMSを導入するメリットは何でしょうか?
それはガス事業者側・利用者側の両方共通で「エネルギーの見える化」が行われることです。
エネルギーの見える化というのはガスの消費に関係するデータを蓄積できるということです。
これは事業者側からすると蓄積されたデータから新商品の開発や、利用者への新たなプランの提案に活用することが出来るということです。
利用者側からのメリットは、「見える化」によりガスの消費動向を把握しやすくなるので、省エネルギーを意識した行動が出来るようになるため光熱費の削減をしやすくなります。
また、現在使用している料金プランが自分の生活スタイルに合っているものか判断しやすくなるため、料金プランの変更を検討するきっかけにもなります。
他にもガス器具の利便性向上もメリットの一つです。
遠隔操作することが出来るので、外出先でも帰宅時間を見計らってお風呂のお湯張りを予約することが出来るようになります。
お風呂掃除を先に済ませておけば家に帰った時にすぐに入浴することが出来ます。
また、事業者側のメリットにHEMSの導入コストが安いことがあります。
上記でも説明しましたが、集中監視システムよりも導入が安価なので導入を勧めやすくなります。
今回はLPガス版HEMSについて紹介させていただきました。
事業者側からすると「見える化」によるエネルギー使用状況のデータの蓄積は今後の商品開発や営業活動においてとても有用です。
利用者側からは省エネについて意識をしやすくなることとガス器具の利便性が向上するメリットがあります。
HEMSは今後普及がされることが予想されるシステムなので、利用して省エネルギーを実現していきましょう。