ガス代を請求された時に一番に気にするところは「ガス代」だと思います。
しかし、ガスをどれだけ使用したのかを気にしたことはありますか?
ガスの請求書や料金表はガスの使用量によってその月に請求するガス代が決定されます。
今回はそんなガスの使用量に関係する単位について紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1.LPガスは1㎥=24000kcal 2.使用量を計算する場合は熱量に直してから計算しましょう 3.ガスボンベのサイズを決めているのは中のガスの重さ |
「㎥」はLPガスや都市ガスが気体の状態での体積を表す単位です。
こちらはガスの使用量を表す時に使用される単位です。
LPガスはガスボンベに充填されている時は液体になっており、その場合は「kg」が用いられます。
そのため、ガスボンベの一般家庭で最も使用されているサイズは20kgと50kgと、サイズを表すのにボンベの大きさではなくガスの重量を表記するようになっています。
1㎥あればどれだけガスを使用することが出来るのでしょうか。
分かりやすく例としてお風呂を沸かす場合は何回分になるのかを計算してみたいと思います。
今回は200L入る湯船があるお風呂を想定してください。
一般的な一人用の浴槽で7~8割お湯を貯めると160~200Lになるようです。
ではこの200Lの水を沸かすためにはどれだけのガスを使用すればいいのでしょうか。
水道から水を出した時の水温が15℃だった場合、40℃まで温めるために必要な熱量は以下のようになります。
200L×(40℃-15℃)×1kcal=5000kcal
水温を1℃上昇させるためには“1kcal”必要になります。
LPガスの1㎥あたりの熱量は“24000kcal”なので、お風呂1回分である200Lの水を沸かすために必要なLPガスの量は以下のようになります。
5000kcal÷24000kcal=0.208…≒0.21㎥
お風呂を沸かすために必要になるLPガスの量は0.21㎥と計算出来ました。
つまり1㎥あればお風呂約5回分になる言うわけです。
一方で都市ガスの発熱量はLPガスの約半分なので1㎥あたり2.5回お風呂を沸かすことが出来ることになります。
しかし、この5回分というのは必ずしもこの回数沸かせるという訳ではありません。
5回とも全部15℃だった場合の話なので、夏ならばもっと水温が高いのでガスの使用量が少なくなるでしょうし、冬ならば水温が低いためガスの使用量が増えるでしょう。
そのためお湯を沸かす作業というのは、環境や季節にガスの使用量を左右されやすいので、今回の計算結果はあくまで目安として参考に留めてください。
それでは、一般家庭で使用されているガスボンベ1本分ではどれほどお風呂を沸かすことが出来るのでしょうか。
一般家庭で使用されているガスボンベのサイズは20kgと50kgです。
それぞれのガスボンベ1本で使用できるガスの量は以下のようになります。
20kgサイズ……8.9~9.8㎥
50kgサイズ……22.3~24.6㎥
お風呂を沸かすために必要な量は上の計算結果では0.21㎥だったので、それぞれのガスボンベ1本分のガスを使用してお風呂を沸かしてみると、
20kgサイズ……42~47回
50Kgサイズ……106~117回
となります。
LPガスのガス器具を使用していると、ガス器具には「kw(キロワット)」で書かれている場合があります。
特に給湯器にはkw表記がされていますが、検針票や請求書などには㎥で書かれています。
その際には単位を変換しなければガスの使用量を計算することが出来ません。
ガスの節約方法を考えたりするときは、ガスの使用量を確認するために「kw」を㎥へ変換することもあると思います。
上で述べた通りLPガスの発熱量は1㎥あたり24000kcalなのでkwをkcalで表す必要があります。
1kwは860kcalになりますので、まとめるとLPガス1㎥をkw数に変換すると、
24000kcal÷860kcal=27.906…≒27.9㎥/kw
という計算が出来ました。
逆に1kwを㎥で表すと、
860kw÷24000kcal=0.0358…≒0.036㎥
となります。
LPガスはボンベ内に充填されている時の状態は「液体」です。
液体の状態のLPガスは、1㎥あたりの重さは0.458㎥/kgになります。
よって、1㎥のLPガスの重さ(kg)は
1㎥÷0.458㎥/kg=2.183…≒2.18kg
となります。
下の表はプロパンガスとブタンガス、プロパンとブタンの混合ガスであるLPガスのそれぞれの単位で“1”に対してどれだけの量があるのかを表したものになります。
例:プロパンが液体の状態のガスが「1kg」ある時、このガスは液体で1.97Lであり、気体の状態になると0.502㎥になる。
プロパン・ブタン・LPガス単位換算表
※リットルに換算する液密度は、LPガス技術総覧の数値を使用しています。
※立法メートルに換算する産気率は、ガイドラインの数値を使用しています。
検針票でのLPガスの数量は㎥で書かれていることが一般的です。
しかし、省エネ法ではLPガスの熱量を求める際の数量の単位はトン(t)で表します。
省エネ法の定期報告書にLPガスの数量を記載するためには、㎥をトン(t)に換算する必要があるため、その時に使われる換算係数が「産気率」です。
資源エネルギー庁が公表している「エネルギーの使用の合理化等に関する法律 第15条及び第19条の2に基づく定期報告書記入要領」によると、LPガスとは、「液化石油ガスとは、石油精製・化学工場における原油や石油製品の処理過程において発生するガスの成分中から回収したプロパン、ブタン等を主成分とするガス及び可燃性天然ガスから得られた物質」と定義されています。
燃料の使用量を熱量換算する際には、50.8GJ/tの発熱量を使用することが定められています。
そして、「LPGの供給事業者からの使用量が帳票類において立方メートルで表示されている場合には、LPGの供給事業者に、立方メートル当たりのトンへの換算係数を確認してください。供給事業者への確認が困難な場合は、以下の数値を用いてトンに換算してください」との注記が記載されています。
LPガスの種類 | 1立方メートル当たりのトンへの換算係数 |
プロパン | 1/502トン |
ブタン | 1/355トン |
プロパン・ブタンの混合 | 1/458トン |
上表の換算係数の分母は「産気率」と呼ばれています。産気率は、一定質量のLPガス(液体)が気化した場合に、どれだけの体積を占めるかという割合を示す数値です。
今回はガスに関係する単位について紹介させていただきました。
ガスの使用量なんて検針票に使用した量が書かれているのを確認するぐらいしか、普段の生活の中で気にしたことが無いと思います。
実際に計算してどれだけ必要になるのかと確認してみると節約につながるかもしれません。
他の記事でもガスの使用量に関して触れているものもありますので、もし計算をする場合は今回の記事の内容を思い出して頂ければと思います。